横浜副流煙裁判のことは、知っておいて下さい

 昨年11月に第一審の判決(棄却)が出て、原告側が控訴を要求している現在進行形のお話です。
 極限に短く表現すると…。
 マンションの住人が化学物質過敏症・受動喫煙症に罹患し、その原因が斜め下の部屋での喫煙にあるとして4500万円の損害賠償請求を起こしたけど、実はその主張がまったくのデタラメだった。という話です。

 僕が説明するよりも、被告人の奥さんのブログhttp://f-atchan.blogspot.com/やツィッターhttps://twitter.com/DuvallyMonika、そしてこの事件を追った「MEDIA KOKUSYO」の記事を読まれた方がいいでしょう。以下をご覧ください。

 この訴訟がまったくデタラメであることは、原告家族の一人が自宅で喫煙しているにも関わらず、化学物質過敏症・受動喫煙症の原因を斜め下の部屋に住む(日に数本、密閉された防音室で吸うだけの)被告人であるとしたことだけで明白です。そしてこの裁判が問題なのは,

①このデタラメな訴訟を起こした弁護士(山田義雄)が存在すること
②これに協力した日本禁煙学会理事長・作田学の、無診断の診断書が証拠として提出されたこと
③被害届が出されていないにも関わらず警察による抜き打ちの家宅捜査が、しかも神奈川県警本部長・斎藤実(現在は警視総監)の指示により行われたこと
もういっこ付け加えるならば
④岡本光樹(都議会議員・弁護士・日本禁煙学会理事)が訴訟にアドバイスを与えたこと

です。

①については、訴権の濫用(スラップ裁判)という問題があります。公正な裁判の判決を求めるに値しないことが明白であるような訴訟を起こしてはいけないよ、て話です。この訴訟を起こした山田義雄弁護士は明らかな言いがかりを裁判に仕立て上げたという問題があり、またこの案件を神奈川県警本部長・斎藤実に陳情したのもこの弁護士であるということです。

②直接診察せずに診断書を作成する行為は医師法二十条違反。その上判決では、日本禁煙学会の「受動喫煙症」の診断自体を「政策目的のもの」と断罪されています。これについてはちょっと言いたいことが多過ぎるので、後で書きます。

あと③と④ですが、これは要するに、人を冤罪に落とすために社会的権威が利用され、社会的権威が冤罪事件に加担しているということです。岡本光樹などは関わりが薄い、と考えられるかも知れませんが、彼自身が受動喫煙に関する訴訟をこれまでも手掛けており、また彼が都民ファーストの会に所属する都議会議員であって、都の受動喫煙防止条例の草案を書いたのがこの人であって、またこの人が日本禁煙学会理事であることを考えると、問題視せざるを得なくなります。

 もうひとつ、僕が絶望的になるのはYAHOOニュースでこの裁判が取り上げられた(デイリー新潮の記事として)時につけられた500件を超えるコメントの中に、まったく記事の意味を理解していない嫌煙者たちのコメントが多かったことです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200222-00609307-shincho-soci

「禁煙学会理事長の気持ちもわからないこともない」
「嫌煙派のだれかがヘマをしたからといって、煙草が有害であるという事実は変わらない」
「喫煙者のアホどもはそれぐらいの覚悟で吸えってこと」
「とりあえず吸わなきゃいいんだよボケ 煙なんてそんな簡単にふせげねーんだよタコ」 

……絶句する。
 まあ僕がまだネット上での言説に慣れていないってこともあるんだろうが、こんなにも頭を使わずに、人は文章を書くことができるのか?


 作田学の医師法二十条違反。診断をしないで診断書を書く、ということ自体は実は他にもあることのようだ。一般人でもちょっと想像すれば分かることだが、例えば労災認定に利用される場合。その他、休学や休職の届出のために診断書が必要な場合。昔に読んだ記事ではそのような場合に「善意で」診断書を書くということが実際にあるそうだ。「しかしそれ、善意って言っていいのか?」とは思うが、話が長くなるからここでは置く。ただこの作田学のしたことは、このレベルで語られる話じゃない。彼は明らかに、受動喫煙に関わる訴訟を原告に有利なものとする為の政治的意図をもってこの診断書を書いている。そして彼の診断書によって、実際に害を及ぼしていない被告に対し4500万円を請求することが正しい、と思っているということだ。彼は本件についてよく知らずに診断書を書いたのでは断じてない。だってこの作田さんはわざわざ、裁判を傍聴するために横浜地裁にやって来ているんだから。
 そしてどうやらこれは日本禁煙学会の基本姿勢であるということが、今回の裁判のおかげで明らかになったということである。

 横浜地方裁判所の判決文には、受動喫煙症について以下の一文がある。
受動喫煙自体についての客観的証拠がなくとも、患者の申告だけで受動喫煙症と判断してかまわないとしているのは、早期治療に着手するためとか、法的手段をとるための布石とするといった一種の政策目的によるものと認められる。(中略)仮に受動喫煙があったとしても、原告らの体調不良との間に相当因果関係が認められるか否かは、その診断のみによって、認定することはできないと言わざるを得ない。」
これが裁判官の恣意的な判断でないことは作田学自身の証言によって、また日本禁煙学会が公表している資料によって、明らかにされている。例えば

2019年3月28日提出「追加意見書(9ページ)」
5.(原告代理人山田義雄氏)
藤井氏は「受動喫煙症基準」(乙9)を証拠として裁判所に提出しており、受動喫煙症レベルⅣの判断にあたっては、尿検査によるニコチン検出を基準としているように記載していますが、本件はこれが当てはまるのでしょうか。

作田氏回答)
 乙9号証の判断基準は、日本禁煙学会が2005年に出した基準です。そして既に述べた甲47号証の判断基準は2016年に作成されたものです。つまり、受動喫煙症レベルの診断基準については、2005年段階の様々な研究や、多くの患者さんの実証データにより、改善進歩しているのであり、現在はこのような尿検査は不要という判断に立っているのです。逆に言えば尿検査によるニコチン検出が、受動喫煙症のレベルの各段階に必ずしても対応しないことが、多くの実証データで明らかになった為に、2016年の基準の改訂(作成時点)で、それを外しているのです。 したがって、藤井氏側の指摘は全くの的外れであると言わざるを得ません。

 つまり2016年の改定前には、受動喫煙症の診断に尿検査によるコチニン検出が必要とされていたのだが、これが「受動喫煙症のレベルの各段階に対応していない」から不要としたのである。ではその診断基準が「改善進歩」してどうなったのかというと、患者の申告を聞くだけで事足りる、としたのである。「改善進歩」は? 実際の受動喫煙症の診断基準が、これである。日本禁煙学会のHPにしっかり載せてある。http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/%20%20%E5%8F%97%E5%8B%95%E5%96%AB%E7%85%99%E7%97%87%E8%A8%BA%E6%96%AD%E5%9F%BA%E6%BA%96version2%20.xlsx%281%29.pdf

タバコに関連づけられる(と、彼らがしている)症状を列挙して、患者に受動喫煙歴があればそれですなわち「受動喫煙症」である、と言うだけの話。しかもこの診断は問診だけで済まされると言うのだ。
 また同HPには診断書の書例があり、そこには「必要な治療・対策」を記入する欄があって「受動喫煙症治療(通院・入院・休業)」とあるのだが、「受動喫煙症」を治すような薬や手術がある訳じゃあない。出来るのは「休業」だけだ。だから上の判決文中に「早期治療に着手するためとか」と書いてあるのは、まあ裁判官の優しさであって、実際この「治療」に相当するのは、喫煙者に要求するか訴訟するかして、周りにタバコを吸わなくさせることしかない。故にこれもやっぱり「政策目的」としか言いようがないのである。
 そもそも「受動喫煙症」というのは日本禁煙学会が2006年に提案した疾患概念であって、彼ら以上にこの疾患の正当性、診断方法、治療方法について語れる者などいない。それがこうなのだ。上記判決文は妥当と言う以外ない。
「MEDIA KOKUSYO」を読むと、被告である藤井さんは、作田学の医師法二十条違反について彼の勤務する日本赤十字医療センターにもこの件を伝え、なんらかの処分を要求したらしい。
 僕はちょっと難しいんじゃないかな、と思っている。作田は日本禁煙学会の理事長であって、日本禁煙学会っていうのは顧問に「日本医師会会長」「日本歯科医師会会長」「日本薬剤師会会長」「日本看護協会会長」などの歴々をいただく団体なのである。普通に考えれば、だからこそ襟を正さなきゃいけない存在なのであるが、彼ら日本禁煙学会のこれまでの活動を見ると「こんな連中がそんなマトモなこと考える訳がない」としか思えない。

 でもって、本当に一番の問題は、この裁判が新聞やテレビなどの、いわゆるマスメディアで報道されていないということでしょう(報道している諸氏諸社をマイナー扱いして申し訳ないですが)。
 日本禁煙学会の理事長と理事、現警視総監、都民ファーストの会所属都議会議員が絡んだ冤罪、あるいは訴権の濫用。スラップ訴訟に対する問題提起となる案件。マスコミが飛びつきそうなこんな事件がまともに報道されていない、ということが問題です。問題なのですが何故そうなるかを忖度してあげることは十分に出来ます。
 だってこのご時世で、喫煙者に味方にして受動喫煙者に楯突くような報道をしたら、苦情殺到間違いなしだもんね。YAHOOニュースのコメントに見られるような、馬鹿馬鹿しいクレームが寄せられることは目に見えています。だから絶望するのです。だからこんな世界の片隅からでも、この件については知らせていかなくっちゃいけないのです。

 この裁判は、喫煙派禁煙派以前の問題です。
 医者や弁護士、警察官が職業倫理を踏み外せば、どんなことを仕出かせるものかを僕たちに教えてくれます。
 正直僕には、横浜地裁の裁判官や取り調べを行なった刑事たち(彼らは被告宅を捜査して「タバコの臭いは感じられない」と報告した)が理性的であったのが奇跡にすら思えます。 
 いやでもやっぱり、禁煙派の問題なのです。
 憶測で断言いたしますが、作田学や岡本光樹はきっと、自分が正しいと信じる理念に基づいて、この時にも行動していただろうからです。
 僕は利権よりも、理想の方が怖い。



 日本禁煙学会の訴訟体質については、以下の文章を見つけた。「東京大学医学部附属病院 受動喫煙症とは」で検索すると見られるのだが、ページ自体からは誰、あるいはどの団体に文責があるのか分からない。分かる人教えてください。

上に「善意で」診断書を捏造する件について「善意って言っていいのか?」と考えたのは、こういう人達がいるからです。僕たち庶民は「労災認定」なんて聞くと大抵、「労働者側が不利なんだろうから、労働者の味方をするのが正しい」と考えがちです。ですが世の中は恐ろしいもんで、こういう善意(?)を利用して金をせしめようとする人達がいるのです。と言うか多分、こういう悪知恵を出す弁護士やらがいるのです。こっちは「利権」の話ですね。理想は怖いですが利権はムカつきます。その贄にされたら尚更のこと。だから僕たちは政治的な理由(大会社は悪い労働者は可哀想、とか)で、一方に味方するような嘘はついちゃいけないのです。

追記:4/16
下記に藤井被告支援の署名サイト(change.org)のリンクを貼ったのですが、時々リンクが切れるようです。藤井被告夫人によるnoteが公開されていますので、こちらをご覧になるのも良いと思います。

横浜・副流煙裁判・冤罪事件     ~これまでの経緯~|横浜・副流煙裁判・冤罪事件における裁判資料及び未公開記録の公開~事件をジャーナリズムの土俵にのせる~|note
【平成28年 (2016年)】 ◆9月 6日◆A夫訪れ、直後A妻がバラバラに訪れた。将登(まさとう)、タバコのサンプルを渡す。将登が換気扇の下で実験を行うが、A家族3名は臭いを確認できず。 ◆9月22日◆組合員T氏の立会いの元、相手方夫妻と藤井将登・敦子の5名が面談。9月6日からこの日まで将登は禁煙したにもかかわらず「...
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オマエはこんな深刻な話をする時も、ふざけたアフィリエイトを欠かさないのか?
そう怒られてしまいそうですが、スイマセン。真面目なの苦手なんです。
セルジュ・ゲンスブールの遺作になりました「You’re Under Arrest」1987年。
「逮捕しちゃうぞ!」ですね。
内容的に最高にかっこよくてボリューム的に大満足なのは1985年の「LIVE」でしょうか。タバコを吸わないとね、こういうカッコいいジイサンにはなれないのですよ。

コメント

  1. […] […]

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