受動喫煙防止条例とかを、ポイする方法

 僕は非常に残念な人間で、受動喫煙防止条例も改正健康増進法も、こんなことになってるなんて全然知りませんでした。ほんの3ヶ月前まで。
 それどころか健康増進法なんて法律がこの国にあったことすら知らない、FCTCも知らない、意識高い系の人から見れば無意識系クズに分類されるんじゃないかって人間。慌てて色々調べたところで、今更どうにもなんないよって、彼らは僕を笑うでしょう。

 さてじゃあどうしましょう。諦めてやられっ放しで生きていくか、遅まきながらの法改正運動を起こすか、はたまた共産主義革命を?
 いやいや無意識系の人間としては、もっと無に無に、コトを持って行きましょう。

 いつしか人が受動喫煙防止条例なんか忘れて、なし崩しに有名無実の法と化して、去年一昨年ぐらいの状況で、事態がおさまっていきますように。

 無為無策もここに極まれり。って感じですが、実例がない訳じゃあ全然ありません。罰則規定なしの条例なんかはこの類が多いもんだし、国家が制定した法であっても、なし崩しにされることだってあるのです。例えば班田収授法です。

 班田収授の法→三世一身の法→墾田永年私財法→荘園制。なんて風に、高校生の頃は覚えてました。覚えてましたが、なんか納得いってませんでした。なんか話が繋がってるようでいて、繋がりおかしくないか? なんて思っていました。
班田収授法」は大ざっぱに言って「天皇様が国民に、田んぼを平等に分け与えますよ」という法律ですね。
 教科書にどう書いてあるかは知らないんですが、日本書紀によれば646年から、法的には701年の「大宝律令」で制定されたそうです。だから実際行われたのは、701年頃からなんでしょう。日本で最初の戸籍が「庚午年籍(670年)」なので、この後からだって事は間違い無いと思います。6年に一度、戸籍と耕作状況を把握し直して、田んぼを班給し直す、というように「養老律令(757年)」に規定されてます。
 この班田収授法が実は、廃止されたんじゃなくて、役人が真面目に仕事しなかった結果、なし崩しに行われなくなったんだ、と知ったのはつい最近のことです。

「なんだそりゃ」って思います。
 思いはしましたが、納得でした。実際そういうのを目にしていたからです。

 100円コンビニの夜勤として働いてた時のことです。
 そこでは夜中に商品のほとんどが納品されて来ます。これを一旦バックヤード(店の奥の倉庫ですね。以下BYで)に納めて、それから店頭に品出しするのが深夜勤務の大きな仕事でした。
 ある時、近場の支店で事件が起こります。その店はBYが狭く、野菜洗い用のシンクがあって、水道の蛇口があります。そこでドジな店員さんが、商品が詰まった箱を蛇口の上に落としてしまって、蛇口大爆発。店が水浸しになってしまいました。かわいそうです。
 で、翌日。そのドジな店員さんの店と近隣の店に、マネージャーから新しいマニュアルが指示されました。
「夜中に搬入されたカゴ車は、一旦店の外に置いておいて、BYには少しずつ運び入れる事」
 商品は最初、運搬トラックからでっかい「カゴ車」に載せて降ろされます。重い荷物がいっぱい載ってると、一台が200kgを超えます。これをそのままBYに入れて、BYで小分けに台車に移して、店頭に運んでいました。
 これだとBYが狭くなって、BYでの作業が窮屈で、だからこんな事件が起こったんだ。なので改善しよう、という訳です。

 けれど問題があります。
 今までそうしなかったのにも当然、理由があるからです。
 運搬トラックから降ろされた、重いでっかいカゴ車を、店の外、つまり道路に置きっぱなしにしちゃあ危ないじゃないか、って話です。
 ウチの店は事件の店舗よりもバックヤードが全然広いのです。そして蛇口は作業場の近くにない。また、店のすぐ外は道が傾斜しているので、そこに重くてでっかいカゴ車を置いたら、倒れてしまう。それこそ危険だよ。
 僕はマネージャーに、店舗の地図まで書き入れた意見書を出しましたが、キレイに無視されてしまいました。「このヤロウ」と思って怒っていたんですが、他の従業員は冷静で、なんの反論もしませんでした。
 で、どうしたかと言うと、マネージャーの指示をキレイに無視して、今までどおりのやり方で仕事をしたのです。
 それで結局、その後事件が起こる訳もなく、マネージャーに怒られることもなく、なんにも支障はありませんでした。実はマネージャーにしたって、皆んなが自分の指示を守るかどうかなんて、どうでもよかったのです。

 大人ならどういうコトか、分かりますよね。
 マネージャーというのは、一つの店じゃなく地域の複数店舗をまとめて指揮するお仕事です。そのなかの一つの店舗で問題が起こりました。マネージャーがすべき事は「二度と同じような不始末が起こらないようにすること」じゃありません。「二度と同じような不始末が起こらないように、徹底的な施策を、担当店舗すべてに指示しました」と、会社の上の方に報告する事なのです。その報告さえ出来れば、他店舗でその指示が守られようが守られまいが、どっちでもよかったのです。

さてでは「班田収授法」です。

 これが始まって20年後くらい、723年に「三世一身の法」というのが出来ます。これまで「日本の土地は全部天皇のもので、天皇がみんなに平等に田んぼを分けるんだよ」って前提でやって来たのですが、これからは「新しく耕した田んぼは、三世代の間その人のもの」ってことにしたのです。
 さらに20年後、743年にはこれが「墾田永年私財法」に替わりました。
 やっぱり期限付きでは、やる気が出ない。三世代目には「どうせすぐ国に取られてしまう田んぼ」なんて荒れたまんまにしておくもんだ、という問題が見えてきたのです。なので「永年、自分のもの」とする法律に変えたのですが、そうすると問題が起こります。「日本の土地は全部ホントは天皇のもの」っていう前提が崩れてしまうのです。
 というか、皆んなが開墾がんばって、元の田んぼ(公地)より、墾田して永年に私財にされちゃった田んぼの方が多くなってしまったらどうでしょう。「班田収授」なんて、ちっぽけで意味わかんない仕事になりますよね?

 つまりお役人さん達が班田収授のお仕事をサボりがちになったのは、班田収授のお仕事が無意味なものになっちゃったからじゃないでしょうか、という話です。(注)
 つまり僕以外の冷静な店員たちと同じように、「無意味なおかしなマニュアルや法律は、放っておけば勝手に廃れてくれる」、と考え、そうしたということです。
 僕以外の店員は、日本古代史からちゃんと教訓を得ていたんですね。えらい。

 改正健康増進法・受動喫煙防止条例も色々矛盾を抱えています。「分煙なんかで受動喫煙は防止できない、全面禁煙だ」なんてクソ野郎もいますし、「経過措置」とされている小規模飲食店を今後どうして行くかって問題もあります。第一本来、法ってものは際限なく一方の方向に向かってくものじゃないだろうと僕は考えます。「ここまではOK、こっからはNG」が本来のあり方の筈。なのに日本中が禁煙するまで徐々に締め付けていくなんてのは、正しい法律の考え方でしょうか。……まあFCTCってものがあるからねえ。あの誰だか知らない連中の際限ない健康布教がある限り、人間は健康と金以外の全てを奪い去られていく他ないんでしょう。
 だから今こそがチャンスなんです。WHOに疑いの目が集まっています。生きるか死ぬかが問題で、健康なんて二の次、いや経済活動も建て直さなきゃいけないんだから三の次、むしろ喫緊の問題は、長く続く恐怖と軟禁生活からくる人心の荒廃です。嫌煙家とかってノイジー・マイノリティー以外は、タバコなんてどうだっていい筈なのです。
 なので僕らも改正健康増進法とかなんとか、忘れたふりをしちゃいましょう。堂々こっそりタバコを吸って、こっそり水面下でマナーを正し、道端のポイ捨てなんかも消してしまいましょう。世界が余裕を取り戻して、再びタバコ規制に目を向け直した頃、普通の人達が「別にタバコにガミガミ言わなくていいんじゃないの?大した被害がある訳でもなし」という世論をつくってくれるように。


 え〜さて、長らくお付き合いくださり、ありがとうございます。
 読んで損した、と思われるでしょう。そんな訳に行くかよ、と怒っておられるかも知れません。まあ長いコロナ休みの暇つぶしだったと考えて、忘れちゃってください。なにせ今、世界中は僕たちは、喫煙どうこうなんてことが問題にならないほどの難題を抱えて生きてかなきゃいけません。
 そもそも僕のこの妄想が実現する為には、まず世間の皆さんに改正健康増進法なんかを忘れてもらうことが前提条件なんですから。


(注)ざっくりご紹介した「班田収授法」ですが、日本史を知ってる人にはこれ「全然違うだろ」みたいな話にもなっています。なのでちょっとだけ補足。
 そもそも班田収授法=「天皇の土地を国民に分け与える」が成立する為には、「公地公民制」が前提となります。大化改新の詔によって土地の私的所有が禁止され、すべて国家=天皇のものにした、という「公地公民制」ですが、今ではこの制度の存在に疑問が持たれているのです。
 僕もまあ、仮にこれがあったとしても、時代はもっと後にズレると思います。というのは日本の中央集権化は大化の改新くらいで始められるものじゃなく、「白村江の戦い」で唐・新羅に日本が負けて(663年)、中国(唐)の外交脅威が増したこと、つまり「外圧」が契機として必要だったろうと考えるからです。ただこの「公地公民制」が全く存在しなかったとすると、班田収授法と三世一身・墾田永年私財法の矛盾という僕が言ったテーマが壊れてしまいますね。困った話です。
 あと「墾田永年私財法」ですが、これはこの年、東大寺の「大仏造立の詔」が出された事に関係しているとも言われます。王臣家や大寺院からの寄付を当て込んでいた為、彼らの財力を増し、ご機嫌をとる必要があったからだと。先に書いたお話では、まるで百姓の一人一人が頑張って開墾してたかのように映りますが、実際にはこうした偉い人たちがドン百姓をこき使って、自分たちの領地を増やす為に開墾してたんですね。これが後の荘園制に続きます。

エレファントカシマシ1999の、これはシングルですね。アルバムだと『Good Morning』、その他ベスト盤に収録されてます。
この記事を書いてる間、宮本浩次の声がずっと聞こえていたのです。
「破壊されんだよ、ダメなもんは全部」
さて破壊されるのは受動喫煙防止条例か、僕たちか。
FCTCか、タバコ文化か。
この際だから、WHOの十字軍精神が破壊されることを望みます。

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